大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和47年(わ)3955号 判決

一、本店所在地

八尾市久宝園一丁目二二番地

三村住宅株式会社

代表者代表取締役

西村斉

二、本籍

東大阪市箱殿町五一四番地

住居

八尾市久宝園一丁目二二番地

三村住宅株式会社

取締役

西村浅一

大正五年一二月一九日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官糟谷道彦、弁護人林正明各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人三村住宅株式会社を罰金二、〇〇〇万円に、

被告人西村浅一を懲役一年六月に、それぞれ処する。

被告人西村浅一に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人三村住宅株式会社は、八尾市久宝園一丁目二二番地に本店をおき、不動産売買および建築業等を営むもの、被告人西村浅一は、右三村住宅株式会社の取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人西村浅一は、被告人三村住宅株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一、被告人三村住宅株式会社の昭和四三年一〇月一日から昭和四四年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一〇五、七九八、八三一円で、これに対する法人税額が三五、五二七、八〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上販売建物の売買価額を圧縮して売上げの一部を除外し、建築工事費を水増し計上するなどの行為により、右所得金額中八一、七七七、九九三円を秘匿したうえ、昭和四四年一一月二九日八尾市本町所在八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二四、〇二〇、八三八円で、これに対する法人税額が七、六三六、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二七、八九一、七〇〇円を免れ、

第二、被告人三村住宅株式会社の昭和四四年一〇月一日から昭和四五年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が、一三五、二二八、三一五円で、これに対する法人税額が四八、一二四、一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中一〇〇、九七四、一七八円を秘匿したうえ、昭和四五年一一月二七日前記八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三四、二五四、一三七円で、これに対する法人税額が一一、〇五三、四〇〇円である旨の虚偽の歩人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税三七、〇七〇、七〇〇円を免れ、

第三、被告人三村住宅株式会社の昭和四五年一〇月一日から昭和四六年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が、一五四、五四一、二五七円で、これに対する法人税額が五五、三一六、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中一〇五、四二七、二〇二円を秘匿したうえ、昭和四六年一一月三〇日前記八尾税務署において、同税務署最に対し、右事業年度の所得金額が四九、一一四、〇五五円で、これに対する法人税額が一六、五九二、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税三八、七二四、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示冒頭の事実につき

一、収税官吏作成の被告人西村浅一に対する昭和四七年四月一八日付質問てん末書

一、登記官末広雄政作成の法人登記簿謄本

一、被告人三村住宅株式会社認証の定款写

判示第一ないし第三の各事実につき

一、被告人西村浅一の当公判廷における供述および検察官に対する供述調書

一、収税官吏作成の被告人西村浅一に対する質問てん末書六通

一、被告人西村浅一作成の確認書

一、収税官吏作成の西村斉(五通)および西村キミヱ(三通)に対する各質問てん末書

一、西村斉および西村キミヱの検察官に対する各供述調書

一、次の者の作成した各確認書

西村斉、山口ウメ、金田外志男、吉田宗保、吉田茂、牛尾耕三、松浦重次郎、岡市正行、峯田博、松村千鶴子、籔本澄代、山田保、川島二郎、山中章一、西井勝、志甫瑞夫、岩井小梅、高橋竜雄、新田晃、大原千代子、脇本椿、守山明、千手恭三、藤原義弘、繁昌勝美、大村亀雄、菅原勝、西向住枝、岡本圭子、吉永孝、木下京子、渡辺康子、土山孝子、藤原礼子、四谷市江、森田昌宏、松尾翠、岩田ヒロミ、田畑千代子、保田金康、中島正一、瀬崎展男、小阪恵子、宮崎昭、小田昭恵、秦五郎、楠田光夫、木下育子、村上カルヱ、加見ヒロ子、庄山弘子、駒井清二、中村義竹、岡田恵美子、丸谷敏行、宇加野信一、横山外喜雄、大星卯一、三好善一郎、緒方立男、森正憲、重野三郎、内田貞夫、斉藤弘、長谷川順子、青木一正、田島七郎、鹿島広、大塚早雄、藤本福子、内藤定子、溝畑良勝、坂本さち子、松崎、大内典雄、山本一雄、浜田芳夫、松原正博、林美齢、兵庫相互銀行今里支店副長、関西相互銀行東大阪支店長(二通)、同銀行同支店副長(二通)、近畿相互銀行日本橋支店長(三通)

一、次の者の作成した各照会文書に対する回答書

山田哲次、水谷章、須藤西吾、林千雄、姥谷照義、奥村俊男、高垣博光、亀井徳太郎、大森茂、西井崇雄、上東英雄、北林義富、石原末喜雄、北川文子、織純治、佐藤建夫、木村久子、北田幸太郎、河井光男、山田博司、信木忠良、野口英昭、佐藤新、山口実、中井清和、林圭四郎、谷学、角知行、小野秀男、柏木克允、山源証券今里支店、大阪府民信用組合守口支店、枚方信用金庫守口支店、岡三証券大阪支店、三重銀行本店営業部

一、収税官吏作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書五通

一、太秦俊一郎および奥井治男作成の各供述調書

一、収税官吏作成の査察官調査書類三綴

右のほか、

判示第一の事実につき、

一、八尾税務署長認証の法人税申告書写(昭和四三年一〇月一日からの事業年度分)

判示第二の事実につき、

一、八尾税務署長認証の法人税申告書写(昭和四四年一〇月一日からの事業年度分)

一、大阪銀行弥刀支店長(二通)、同銀行同支店次長および矢部修三作成の各確認書

判示第三の事実につき、

一、八尾税務署長認証の法人税申告書写(昭和四五年一〇月一日からの事業年度分)

一、大阪銀行弥刀支店長(二通)、同銀行同支店次長、大阪府民信用組合守口支店長、枚方信用金庫守口支店長代理および矢部修三作成の各確認書

(法令の適用)

被告人三村住宅株式会社の判示各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項に該当するので、情状により同法第一五九条第二項を適用したうえ、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四八条第二項により各所定罰金額(判示各 脱額相当額)を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金二、〇〇〇万円に処することとし、被告人西村浅一の判示各所為はいずれも法人税法第一五九条第一項に該当するので、所定刑のうちいずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で同被告人を懲役一年六月に処するが、同法第二五条第一項によりこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については、刑事訴訟法第一八一条第一項本文によりその二分の一ずつを被告人両名に負担させることとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 堀内信明)

右は謄本である。

昭和四八年七月一七日

大阪地方裁判所第一二刑事部四係

裁判所書記官 槌屋喜久夫

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例